あけましておめでとうございます。
大晦日の夜から元日の朝にかけては、不思議な空気感があるように感じます。
それはどういうものかというと、空間、というよりは時間が間延びしたり、張り詰めたりをゆっくりと繰り返して、ひとところに落ち着けないような、そんな感じです。
それは、自分自身が年末と年始の狭間で、「ここにいたい」「否応なく進まなければならない」というふたつの気持ちに引っ張られているのかもしれませんね。
2814『新しい日の誕生』は、わたしにとってそんな時間にはうってつけの音楽なのです。
2814とは

2814は2014年に結成。
HKEとして知られるデイヴィッド・ルッソとテレパシー能力者として知られるルーク・ラウリラによるプロジェクトです。
リリースはHKEのレーベル・DREAM CATALOGUEから。
このアルバムの1番の特徴は、それまでVaporwaveの制作手法としてその根幹をなすサンプリングを一切使用せずに制作したことだそうです。
このアルバムは、サンプリングという技法の上で成り立ってきたVaporwaveという音楽ジャンルへの、いわば挑戦状でした。
わたしは、制作手法の呪縛からVaporwaveから解き放ち、よりそのコンセプトを克明に浮き上がらせた記念すべきアルバムであると考えています。
しかし、それについての賛否両論はさておいて、大事なのはその音楽。
それが発する電気信号がわたしに何らかの作用を及ぼすかどうか、あなたの心を動かすかどうかなんです。
さっそく、アルバム『新しい日の誕生』を聴いてみましょう。
2814『新しい日の誕生』を聴いてみよう

洗練された鮮明なトラック、想起されるのは広い空間。
ビートは高音域は鋭く、低音域はずっしりとして、広く重たい。
ひとつひとつの音色はくっきりとして、それまでのVaporwaveの楽曲たちとは異なるもののように感じられます。
しかし、その一曲一曲がもたらす音楽の世界への没入感は、Vaporwaveのそれ、そのものです。
わたしが受け取ったイメージは、アルバムアートワークが想起させるサイバーパンク的な夜の都会の世界。
ある人は、未来の都市の華やかな喧騒を思い浮かべるでしょう。
そしてまたある人は、ネオンサインの陰にある、孤独な世界を想起するかもしれません。
このアルバムは、そんな世界の煌びやかで仄暗いコントラストを映し出してくれています。
どんな世界を描くかは、音楽を受け取るあなた次第。
あなたは、2814『新しい日の誕生』を聴いて、どんな印象を持ちましたか?