色川武大 / 阿佐田哲也のおすすめ小説・随筆5選

こんにちは、サ日です。
今回は、わたしが折に触れて読み返したくなる作家・色川武大 / 阿佐田哲也の小説・随筆を紹介していきますよー！

色川武大 / 阿佐田哲也とは

色川武大 / 阿佐田哲也は東京都生まれの小説家。
1929(昭和4)年3月28日に東京都牛込区矢来町に生まれ、1983(昭和58)年に岩手県一関市の自宅で倒れ、その後入院先の宮城県立瀬峰病院で亡くなっています。
享年54歳の短い生涯でした。

受賞作は、
「黒い布」中央公論新人賞(1961年)
「怪しい来客簿」第5回泉鏡花文学賞(1977年)
「離婚」第79回直木賞(1978年)
「百」川端康成文学賞(1982年)
「狂人日記」読売文学賞(1989年)。

幼い頃からの浅草での経験や、博打で食いしのいだ経験からの独特な視点、そして父との関係性が色川の文学の大きなテーマとなっています。

また、作品によっては色川自身の持病であるナルコレプシーによる睡眠障や幻覚の経験をもとにした幻想文学の肌触りがするもの記しています。

博打うちであった経験から、後年も名うてのギャンブル好きで知られ、阿佐田哲也名義での「麻雀放浪記」をはじめとするギャンブル関連の随筆や小説も多数残しています。

色川武大 / 阿佐田哲也の作品の魅力

色川武大 / 阿佐田哲也の作品の魅力はなんと言ってもその独特な視点。

人並外れたコースを生きてきた色川にしか出せない物事の捉え方や、作品中で描かれる人と人の関係性は、現代のわたしたちが目にするものとは一見異なる性質のもののようにさえ見えますが、自然世界の厳峻な規律とでも言うべき本質を確かに捉えています。
そして、その眼差しはそんな自然の中でいかにわたしたちがどのように関係していくのかを温かく見守っているようにも見えるのです。

と、なんだか乙に構えた言葉を使ってしまいました。
なんだか恥ずかしくなりますね。

色川の文学の魅力を改めて言い直すと、下記のようなものになると思っています。

色川武大 / 阿佐田哲也の文学作品の魅力は、その中に描かれる、自然の原理原則の中で、人と人がどのように関係していくか、「私」と「世界」がどのように関係していこうとし、そしてどのように関係が変化していくかが極めて厳しく、そして暖かい目線で描かれていることだと思います。

そしてそれは一言で言うのであれば、「愛」だと思っています。
一見、「愛」には見えないかもしれないけれど、紛れもなくそれは、「愛」。

あくまで、わたしの意見なのですが、皆さんも色川 / 阿佐田の「愛」を感じてみてください。

色川武大 / 阿佐田哲也のおすすめ小説・随筆5選

色川武大 / 阿佐田哲也ならではの小説・随筆世界をぜひ体験してみてください！
おすすめ作品5選を紹介していきましょう。

うらおもて人生録

「うらおもて人生録」は色川武大が生きてきて培った技術と経験をもとに、若い人たちへ向けた人生のハウツー本。
ハウツー本というと、なんだか嫌な感じがしますが、この本を読んで分かるのは「人生は難しい」ということ。
色川ならではの視点で書かれた、全く異色の人生録になっています。
わたしはこの本に大学生の頃出会い、以来毎年1回は必ず読み返しています。
できれば中学生の頃に読みたかった！
今中学生の方は、絶対に読んでほしいおすすめの本です。

怪しい来客簿

「怪しい来客簿」は、泉鏡花文学賞も受賞している色川武大珠玉の短編集。
色川武大の文学独特の幻想的な雰囲気を味わいたい方におすすめの全17編の短編たち。
わたしは、「また、電話する」という話が好きです。
はじめて色川武大の作品を読む、という方にもおすすめの一冊です。

麻雀放浪記

こちらは言わずもがな、阿佐田哲也名義の大ベストセラー。
ピカレスクロマン(悪漢小説)の日本における金字塔であり、青春小説・ビルドゥングスロマン(教養小説)としても、稀代の名作です。
書籍は全4巻。

和田誠監督、真田広之主演の映画「麻雀放浪記」や、少年マガジンで連載していた「哲也-雀聖と呼ばれた男」もおすすめです。

生家へ

「生家へ」は、退役軍人の「父」と放浪の日々を送った「私」の関係を描いた作品。
シュルレアリスム的な夢のイメージや、硬筆な筆致は、刺さる人には必ず刺さる内容となっています。
無頼派の系統に連なる私小説的な作品が好きな方にもおすすめです！

狂人日記

「狂人日記」は、正気と狂気を行き来する「私」と「私」を取り巻く世界を描いた作品。
色川武大晩年の名作です。
「狂人日記」には様々な作家の読みがありますが、わたしは最近では「愛」の物語である、と思っています。
「幻想」「病理」「関係性」さまざまな角度からの論評がありますが、あなたはどんな読みをするでしょうか？
ぜひ、「狂人日記」を読んであなただけの感受性の赴くままに、作品に浸ってくださいね！

今年も良い読書生活を

いかがでしたでしょうか？
色川武大 / 阿佐田哲也の魅力的な作品を5本ご紹介させていただきました。
興味のある方は、ぜひ読んでみてくださいね！

今年も良い読書生活をお過ごしください。