もういちど、ダンスを踊って

暮らし

もう一度、ダンスを踊って(四)

ある日彼女はいつものように洗車ににやってきて、ぼくを呼んだ。担当でもないぼくが名指しで呼ばれて階下へ降りていくことを、店舗の女性たちは怪訝に思っていないかと気まずい思いをした。
暮らし

もう一度、ダンスを踊って(三)

次の日からぼくは、いつも通りの仕事漬けの日常に戻った。前夜のお礼をメールでふたり宛に送り、お互いにまた飲みましょうという社交辞令を交わしたのち、連絡はあたりまえのように途絶えていた。
音楽

もう一度、ダンスを踊って(二)

陽が落ちた店舗外の駐車場には虫たちの、人生を謳歌するような盛大な合唱が響き、気だるく生ぬるい、艶かしい 空気が辺りに漂っていた。そこには海辺のコンビナート特有の鉄臭い潮の香りも混じっていた。
暮らし

もういちど、ダンスを踊って (一)

内気で社交的ではないぼくにも、人生でいちどだけ女性とダンスを踊った経験がある。それはぼくが 社会人となって2年目の夏のことで、ぼくは24歳になったばかりだった。