単身赴任生活の休日は、ふと孤独を感じる瞬間があるものです。
この記事では、博多の街を歩きながらお金をかけずに寂しさを充実感へと変える、大人のひとりピクニックの過ごし方と、一人の時間だからこそ出会える人生の棚卸しについて一言で解説します。
日曜朝8時、100g48円のささみから始まる「私のピクニック作法」

平日の疲れが残る日曜日の朝は、いつもより少し遅い8時に目を覚まします。
ここから1時間をかけて、1週間分の作り置きを兼ねた私のためのお弁当作りが始まるのですが、今回はピクニックに持参する弁当のおかずを作るために、2時間ほど料理に熱中しました。
特売で買った100グラム48円の鶏ささみを取り出し、じっくりと油で揚げていきます。
さらに、ニラを刻んでたっぷりと混ぜ込んだ、特製のハンバーグも焼き上げました。
家にある身近な食材ばかりですが、時間をかけて丁寧に作れば、立派なごちそうに変わります。
仕上げに、淹れたての熱いドリップコーヒーを水筒へ静かに注ぎました。
お気に入りの水筒にコーヒーを詰めるだけで、ただの外出が特別な旅へと変わるから不思議です。
靴を履き、お弁当を入れたカバンを肩にかけて、私は静かに家を出ました。
THE FULFUL HAKATAの大行列に我が目を疑う。明太フランスを舐めていた日曜日

まずは、中洲川端のアーケードを通り、櫛田神社の方向へと足を向けます。
途中、川端通商店街のたばこ屋さんで煙草を買い一服しながら、目的地の位置をチェックします。
今日の散歩には、東京にいる妻から頼まれた大切な任務があります。
それは、博多で有名な「THE FULLFULL HAKATA」というお店の明太フランスを買うことでした。
しかし、お店の前に到着した私は、目の前の光景に思わず絶句してしまいました。
そこには、建物の角を曲がってまで続く、とんでもない大行列があったのです。
「明太フランスを完全に舐めていた」という、激しい敗北感が胸に突き刺さりました。私はたまらず、その場から東京の妻へと携帯電話をかけました。
「すごい行列で買えそうにないよ」と伝えると、妻は笑いながら次の候補を教えてくれます。
離れて暮らしていても、同じ目的を共有している時間が、私の心をじんわりと温めてくれました。
電話を切り、私は櫛田神社前駅から博多駅の方向へと、大きく進路を切り替えたのでした。
THE FULLFULL HAKATA
名称:THE FULLFULL HAKATA
住所:福岡県福岡市博多区祇園町9−3
営業時間:10:00 – 19:00
定休日:火曜日
【現地リサーチ】「むつか堂」で出会った、おじさんの胃袋にも優しい最高の一本

次の候補として、私は「YAMAYA BASE」に行くか、それとも「むつか堂」に行くかで真剣に迷いました。妻からの課題をどうしても果たしたいという、男のプライドが働いたのです。
最終的に私が選んだのは、食パンで有名な「むつか堂」の明太フランスでした。
【むつか堂の明太フランスの特徴】
ベンチに腰掛け、購入した明太フランスをさっそく一口かじってみました。
口の中に、パンの香ばしさと明太子の優しい旨味が広がっていきます。一本をすべて平らげても、油っぽさによる胸焼けが全くしないことに驚きました。
これなら、脂っこいものが苦手になってきた大人の胃袋でも、最後まで美味しく楽しめます。
妻へのお土産にする前に、まずは自分が最高の味を体験することができました。
パン屋むつか堂マイング博多店
名称:パン屋むつか堂マイング博多店
住所:福岡県福岡市博多区博多駅中央街1-1
営業時間:9:00-21:00
出来町公園の木陰で気づく、食べるということ、生きるということ

博多駅の近くにありながら、大人が静かに落ち着ける場所があります。それが、今回私が選んだオアシス、出来町公園です。
緑豊かな木陰のベンチに座り、朝から作った自分のお弁当箱を広げました。
卵焼きを口に運んだ瞬間、ふと東京にいる母が作った「甘い卵焼き」を思い出しました。実は今の私は、白だしの中にほんの少しだけ砂糖を混ぜて、卵焼きを作っています。
子供の頃はあんなに嫌いだった「漬物」を、今の私が美味しく食べていることにも気づきました。食べるという行為は、その時々の生きる事情と深く結びついているのです。
ささみ唐揚げの薄い塩気を、パリパリとした漬物の塩分がちょうどよく補ってくれます。
一品のおかずだけで、夢中で白米を頬張っていた、昔の記憶が懐かしく蘇りました。
【大人の公園マナー】
お弁当を食べ終え、私は持参した「よなよなエール」の缶を静かに開けました。
プシュッという心地よい音とともに、昼下がりの公園で最高の開放感を味わいます。
地面に座って見上げる空。この地で初めて「接触」したもの

ビールを飲み終えた私は、ベンチから離れ、冷たい地面に直接腰を下ろしてみました。
目の前をひらひらと舞う一匹の蝶を、何年ぶりかでまじまじと眺めます。
地面に座ったからこそ、天に向かってまっすぐ伸びる蓬(よもぎ)の高さに驚かされました。
ふと見ると、お弁当箱の隅を小さな蟻が一生懸命に登っています。私はその蟻を、指先で優しく、そっと払いのけました。
そのとき、ハッと気づいたのです。職場での握手や挨拶を除けば、この博多の地で生き物の温もりに触れたのは、これが初めてのことでした。
指先から伝わった小さな感覚が、私の心にあった孤独な壁を優しく壊してくれました。
胸を満たしていた寂しさはいつの間にか消え去り、私は自分がこの博多の街の地面と、しっかりと地続きでつながっているのだという安心感に包まれていました。
出来町公園
名称:出来町公園
住所:福岡県福岡市博多区博多駅前1-10
まとめ:単身赴任の寂しさは、自分と丁寧に向き合う特別な時間に変わる

お金をかけなくても、自分の手でお弁当を作り、街の自然に触れるだけで、休日はこれほど豊かになります。
単身赴任生活の寂しさは、決して悪いものではありません。それは、普段は忘れてしまいがちな自分自身の人生と丁寧に向き合うための、神様がくれた特別な時間なのです。
次の休日は、ぜひ水筒にお気に入りの飲み物を詰めて、近くの公園まで歩いてみませんか。








